フリーエンジニアの単価と見積りの関係

システムエンジニアが働く会社、特に大手の会社ですと「ITゼネコン」などと揶揄されることがありますが、これは建築業界の会社と同じように取引会社間でピラミッド構造を形成しているからです。顧客から仕事を受けた大手の会社は顧客との仕様の詰めが終わると、協力会社との間で「作成請負契約」を結んでシステムの構築を発注し、受注した会社はそれを幾つかに分けて別の会社へ発注、その会社もまた別の会社へと発注します。

最終的にシステム構築の大部分を行っているのは、最後に受けた会社が雇った派遣社員やフリーランスエンジニアだったりします。このように派遣社員やフリーランスエンジニアなどの有期雇用者などがピラミッド構造の下側を支えているわけです。





顧客と契約を結ぶ前に見積りをお客様に提示することは多くの業界でも行われていると思いますが、システム構築をする際にも同様のことが行われているわけです。ただ顧客に提示する見積りは営業部が作成するため、システムエンジニアはシステム構築(ハードウエアを含む)の「原価」を見積もって営業部に提示することになります。

営業の担当者はその原価に営業経費や利益等を上乗せした上で、今後の見込み・運用契約・センター契約の有無など様々なことを考慮して最終的な金額を決定します。ミドルウエア等を含むハードウエアに関しては、調達費用がはっきりしているのでハードウエア設計を終えて算出されます。これらは他の業界でもあり得る見積り方法ですが、IT業界はソフトウェアの部分の価格設定が特殊です。

IT業界で使われる単位に「人月」という単位がありますが、これは1人月とは1人の人間が1か月働いたことを表します。「このシステムを構築するのに3人月かかります」と言った場合、1人で行えば3か月、3人で行えば1か月で終わると言う意味になります。ただ90人で構築すれば1日で終わるのかと言えばそうならないところが人月の問題点で古くから指摘されています。

しかし人月に代わる物差しがないため、現在でも多くの現場で使われています。 そして、システムを細部に分けて、どれくらいの人数で何か月かかるかを細かく積み上げて数字を算出し、決められた単価をかけて見積金額を出します。単価は、自社、協力会社ごとに異なる単価が割り当てられており、例えば自社は140万円、A社は80万円、B社は70万円などと自社よりも協力会社の方が低い単価が割り当てられ、計算上は社内開発より協力会社に発注した方が安くなると言う不思議な現象が起こります。

ここで出てくる金額の80万円、70万円がまさに派遣社員やフリーランスエンジニアへ対する単価となります。



こう考えると、元々の単価が高くて実際に働くエンジニアの単価が低いと感じるでしょうが、実際の元々の単価はある意味で架空の金額であり、実際に協力会社に在籍するエンジニアもそれほど給料が高いわけではありません。

このように、一次受けの会社に居るから給料が高いわけではないところが面白いところです。そしてまた、フリーランスであるから給料が低いというわけでもないです。実際、フリーのITコンサルタントはこのようなピラミッド構造の中でも上方に位置しているので、3桁の100万円以上は単価が出たりします。

そしてまた、このようなピラミッド構造に当てはまらないWEB系のシステム開発では単価が比較的高くなっています。 確かにフリーランスエンジニアを含めるエンジニアは、ピラミッド構造の位置によって仕事の安定や給与に結びつく傾向がありますが、それが全てではなくなってきています。・・・といいますのは、技術発展のスピードが早く、このピラミッド構造の外側でシステム開発が行われるようになってきたからです。

ということで、フリーランスエンジニアの単価はIT業界特有のピラミッド構造によって決まりますが、ここ最近はこの構造も崩れつつある、という話でした。