民法の改正とフリーランスエンジニアに与える影響~その1~

 

2017年民法が120年ぶりに改正されました。
長い期間改正行われておらず、現代の商習慣に合わない点が出てきたためです。準備期間を経て、その適用が2020年4月より始まります。またインボイス制度も2023年より開始予定です。


「へー、法律が変わるんだ。でも何が変わるんだろ?」なんてのんびりはしていられません。私たちフリーランスのエンジニアにも直接的に大きく影響があります。今回の改正ではシステムインテグレーション分野での取引について実態と法の解離を是正する目的もあると言われています。


本記事では複数回にわたり、民法の改正の内容やフリーランスエンジニアへの影響、対応、インボイス制度の導入についてをご紹介いたします。環境の変化に合わせるための参考としていただければ幸いです。

2020民法改正の主な変更点とは

 

私たちエンジニアにすぐに影響の出る民法改正の内容を確認していきましょう。大別すると請負契約と準委任契約(SES契約など)に関わるものに別れます。順を追ってひとつづつ概要を見ていきましょう。


●請負契約に影響する民法改正

①「瑕疵(かし)」が「契約不適合」へ呼び方が変わる 請負契約においてベンダがクライアントに納品後にシステムに不具合が見つかった場合、ベンダ側の義務として「瑕疵担保責任」というものがありました。「瑕疵」とは要するにバグがあるということですね。  

この民法改正では「瑕疵」を「目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない」「契約不適合」という言葉に変えました。言葉の置き換えであり、ベンダが負わなければならない義務には変わりはありません。


②契約不適合(瑕疵)がある場合、代金減額が可能に ベンダの納めたシステム(成果物)に契約不適合(瑕疵)がある場合、クライアントはもともと修補請求、契約の解除、損害賠償請求をすることが可能でした。これに加えて2020年4月からは代金減額を請求することが可能となります。


③責任追及期間の延長 契約不適合(瑕疵)が発生した場合、修補請求、契約の解除、損害賠償請求および代金減額の請求を行うことができるという4つの権利があるのですが、クライアント側のこの権利の行使可能期間も変更となります。 改正前は請負契約でのシステム開発ではシステム等の成果物の引き渡し(納品)時点より1年が権利の行使可能期間でした。

今回の改正適用により、クライアントが契約不適合(瑕疵)を知った時から1年以内が権利の行使可能期間となります。ただし、いつまでも納品後に契約不適合時の責任が問われるわけではなく、最大で納品後5年間以内に責任追及をする必要があります。 それでも、契約不適合(瑕疵)期間はこれまでに比べて大変長くなるといえます。



④契約不適合(瑕疵)の修補請求に制限がかかる これまではベンダが納品した成果物に重要な契約不適合(瑕疵)がある場合、クライアントは瑕疵期間中であればその対応工数が大きくなろうとも修補請求をすることができました。

今回の改正では過分な費用が必要となる場合は修補請求ができないように変わります。 改正以降は過分な費用が修補に必要となる場合には、クライアントは損害賠償請求や代金の減額をベンダに求める形になると思われます。


⑤未完成でも報酬を請求可能に 今回の民法改正までは請負契約においてはシステムの完成(成果物の完成)をしない限り報酬請求ができないことが定められていました。

しかし、今回の民法改正後は、システムが未完成でも、作成完了している部分がクライアントにとって価値がある場合は、完成の割合に応じて報酬請求できるように変わります。

 

たとえばプログラムは一通りコーディングはされているが、テストが行われていない場合にクライアントがベンダにそれ以降の契約は打ち切りとする場合などが対象になります。その状態についてクライアントとベンダの間でシステム構築全体のうちに占める割合を協議し、それ以降の作業は契約解除となっても、ベンダはそこまでの完了部分について報酬を請求できることとなります。 ただし、あくまで請求をすることができるようになるだけでクライアントが支払いに応じるかはわかりません。


●準委任契約(SES契約など)
・仕事の完成を前提とする準委任契約を結ぶことができるようになる いわゆるSES契約では、労働時間や工数をもとに報酬を支払う履行割合型の準委任契約がよく利用されてきました。この契約形態ではシステムの完成(成果物の完成)に関わらず、報酬の請求ができます。 今回の改正適用により成果完成型の準委任契約も認められることとなります。

この場合、システムの完成(成果物の完成)をクライアントへの報酬請求条件とすることを契約に明示します。報酬請求において仕事の完成が必要となる点においては請負契約と近い形となります。違いは仕事の完成が義務付けられるわけではなく、仕事の完成のために善管注意義務はたせば、仕事が完成に至らなかった場合にも債務不履行責任を負う必要がない点です。

請負契約での5点と準委任契約での1点の主な改正点の概要を確認してきました。フリーランスエンジニアの皆様も自分の仕事にもすぐに影響が出ることを感じられたのではないでしょうか。 次回はこの改正でエンジニアがどのような影響を受けるかについてみていきましょう。